Menu & Greetings献立・ご挨拶

久々に都会からは離れ、冬の兆しも感じられる山の中にいました。北広島町、そこは島根県との県境に位置する山深い静かな集落です。そこで山里の食材を活かした料理で定評のある三巨匠によるシンポジウムが開かれました。

三巨匠とも４０〜５０年のキャリアをお持ちで、語られる山の恵み、実りのお話、美味しさのお話は素晴らしく聴きいってしまいました。その中でも驚かされたことがありました。「今、山は人の手が入らなくなって荒れてしまった。」と。つまり文明が発達したことで、人は山を利用する必要がなくなり山に入らなくなった。そして山が荒廃してしまった。

なるほど、思い出されることがありました。以前、山に居を構えた知人がいました。家の周りには鬱蒼とした木立が並んでいた。知人は数年かけて周りの立木の下枝を落とし、下草を整理しました。すると適度に日が差しこみ、木々の足元に風が通るようになりました。すると植生が変わりそれまで彼は「この辺りは何も採れるものはない」と言っていたのに、山菜や野草が出るようになりました。

昔に比べて山菜や茸が少なくなっています。また近年、山里で熊による被害が増えています。山だけでなく、海にも、陸にも気がかりなことは多くあります。今一度、身の回りを見つめて自然と寄り添い、共に生きることを考え直すときなのかもしれません。